精神科での治療においてお薬と同じくらい大切なのが「リハビリテーション」です。
体にけがをした時と同じように、早期にリハビリを行うことで円滑な社会復帰を進めることができます。
リハビリテーション部は入院中の方が対象の作業療法と、外来の方が対象のデイケアに分かれます。
患者さんの希望に沿った生活へ向けて、入院中から退院後まで切れ目のない支援を、他職種と連携しながら行っています。
作業療法
- 対象:入院中の方
- スタッフ:作業療法士
- 作業療法(OT;occupational therapy)とは
作業療法における作業とは、単なる手作業のことではなく、日常生活活動や仕事、遊びなど、人の日常におけるすべての営みを指します。急性期から様々な作業を通じたリハビリテーションを行い、病気や症状を抱えながらもその方にとって大切な作業を行えるように支援していきます。
デイケア
- 対象:外来の方
- スタッフ:医師・看護師・精神保健福祉士・作業療法士
- 精神科デイケアとは
社会生活機能の回復を目的とし、個々の患者さんに応じたプログラムに従ってグループ毎に治療します。精神疾患の再発防止に効果があります。当デイケアは、急性期症状から回復していく過程で利用できます。小集団プログラムを重視し、個別ケアを充実させています。 - 活動日:月曜日~金曜日(土日祝+年末年始休みはお休み)
急性期リハビリテーションについて
当院では入院中の急性期からリハビリテーション(作業療法)を導入し、退院後はデイケアにて社会生活への再適応を図るとともに再発を予防する取り組みを行っております。
病棟内作業療法
入院早期はリラクゼーションで心身を休めたり、レクリエーションや塗り絵などの簡単な創作活動で息抜きを行ったりします。
病棟外作業療法
急性期のつらい症状が改善した頃には、作業療法室まで移動し、軽スポーツや体操、手芸活動へ参加できます。
再発予防プログラム
退院後の生活へ向け、様々な教育プログラムを行っております。入院中にプログラムを行うことで再発予防につながります。
退院後は地域生活を送りながらデイケアを利用し、病棟で行った教育プログラムを深め、復学や復職など社会生活への再適応を目指します。(当院に入院したことがない方も参加可能です)
リハビリテーション活動
作業療法室でのリハビリテーション
- 運動グループ
卓球やバドミントン、ボウリングなどの軽スポーツを行います。
- 手芸グループ
自分の好きな作業を、ゆったりとしたペースで行ないます。やることを決めずにのんびり過ごすこともできます。ぬり絵、書道、ペン習字、刺し子、編み物、革細工、トランプ、オセロ、読書、ピアノ など
再発予防プログラム
- クライシスプラン作成
自分の体調管理に向けて、調子が悪くなるサインや、対処方法を学びます。周囲の支援者と共有することでお互いに安心した環境が作りやすくなります。
クライシスプラン作成例はこちらをご覧ください。
- 心理教育(病気についての勉強会)
各疾病に対して患者さん自身が理解を深め、体調をコントロールすることを目指します。薬剤師や看護師も参加いたします。
- アサーショントレーニング、アンガーコントロール、SST
コミュニケーションについてロールプレイを交えながら学習していきます 。
- 取り扱い説明書
主に発達障害の方を対象に、自分の特徴や強み、苦手なこと、お願いしたい支援についてまとめます。
- コグトレ(認知機能強化トレーニング)
認知力、対人力、身体力アップを目指し、学校や社会で生活しやすいように改善・強化していく包括的プログラムです。
- WRAP(デイケアのみ)
自分が元気で過ごすための工夫を考えてリストにまとめます。 再発予防に役立ちます。
他職種と協力して実施しているリハビリテーション活動
統合失調症の勉強会や物質使用障害など、疾患ごとの心理教育グループを他職種と協力して運営しています。詳しくは心理教育プログラムをご参照ください。
身体的リハビリテーション活動
けがなどの処置をされた後に転院されてくる方や、体が思うように動かせない方など、身体的なケアが必要な患者さんは少なくありません。当院には理学療法士が一名常勤しており、身体機能が低下した患者さんへ関節可動域訓練や歩行練習など、身体機能の回復に向けて訓練を行っています。身体的介入を行うことは、身体機能だけではなく精神機能の改善にも繋がります。